未踏の老いを生きる
最晩年期をどうする?
「人生100年」が夢でない時代だ。だが長生きはめでたいか、恐るべきことか、そう聞かれると答えに窮 する人が
多いだろう。
なぜならピンピンコロリを願っても、100歳まで生きれば足腰は弱り、ピンピン・ヨ ロヨロ、
ドタリの最晩年期が待つからだ。
加えて、そうした時期を支えたであろう家族の形がこの30年ほどで大きく変わった。
80歳以上の高齢者でも子供夫婦と一人暮らし・夫婦のみ、多くの人が老いの坂を一人で又は老夫婦で
生きねばならい時代である。
ところで、この方向はさらに進むが、現在元気な高齢者はその時期に備えた生き方をしているだろうか。
介護家族や支援者の話を聞く。
その中で近年、最晩年期をどこでどう生きるか、倒れたら誰に支えてもらうかを元気なうちに考え、
自力でできることは備えてほしいという声が支援現場で強まっている。
子供がいない、いても遠くに住み、頼るべき親族が身近にいない高齢者が増え、その支援が大きな問題になっている。
元気で過ごす70~100歳代の高齢者と家族の話を聞き始めた。
毎日をどう過ごすか。倒れた後どこで誰に支えてもらうつもりか、その時のためにどんな備えをしているか、など。
80代半ばを超え90代にもなると、親しい友人も次々とあの世に逝き始め、
子どもに先立たれる「逆縁」リスクも高まっていく。